多くのデザイナーは「他人のデザインを真似しろ」と指示され、その結果、真似た要素が頭に染み付いてなんとなくデザインを作り上げてしまいます。しかし、真似や感覚、経験だけに頼らず、本質的にゼロからデザインを制作できるプロセスを持つデザイナーは少ないのが現状です。
本記事では、そのプロセスを具体的に解説し、WEB制作における配色の決定方法を詳しく紹介します。具体的な事例やツールの活用方法も交えながら、実践的な配色戦略を学びましょう。
まず、自分たちのサービスや商品が何を提供するのかを明確に理解することが重要です。内部の関係者間ではざっくりとした説明でも理解や信頼を得ることができますが、外部の人、特に比較検討をしている潜在的な顧客に対しては、客観的で根拠のある情報提供が必要です。
以下のような分析手法を活用して、自社の強みや市場での立ち位置を明確にしましょう。
これらの分析を通じて得られた客観的な強みや性質を理解し、デザインに反映させます。
分析を行った上で、自分たちのサービスが「どのようにユーザーの生活を楽にするのか」「便利にするのか」「幸せにするのか」「負担を軽減するのか」「楽しみを提供するのか」を明確にします。この想いをデザインに反映させることで、ユーザーに強く訴求するWEBサイトを構築できます。
具体例:
ターゲット設定は重要ですが、過度に囚われすぎるのは避けましょう。実際にサービスを提供していると、想定していなかった層からも利用されることがあります。ターゲット設定は、迷ったときに立ち戻るための指針として活用します。
以下のようなセグメントを参考に、だいたいの年齢層や性別、置かれている状況、興味関心などをラフに決めます。
具体例:
伝えるための手段や媒体を選定します。ウェブサイトの場合、ファーストビュー(FV)や第二ブロックの構成が重要です。具体的には以下のようなポイントを考慮します。
具体例:
第三者に理解してもらうために、わかりやすく情報を伝える必要があります。以下のようなマーケティングモデルやフレームワークを活用して、効果的なコンテンツ構成を考えます。
具体例:AIDMAモデルを用いたコンテンツ構成
これらのフレームワークを活用して、ユーザーの購買プロセスや心理を理解し、適切な情報提供を行いましょう。
ここから本題である配色の決定方法について解説します。適切な配色は、WEBデザインの印象を大きく左右し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。
ターゲット層や業界によって、好まれる色や避けるべき色があります。まずは、その業界やサービスに関連する色を調査します。具体的には、Google画像検索などで競合他社や関連キーワードを検索し、使用されている色を参考にします。
具体例:
ツールの活用:
**メインカラー(テーマカラー)**を一つ決めます。最初は二つや三つでも構いませんが、最終的には一つに絞ります。色には文化的・社会的な意味づけがあるため、選定には注意が必要です。
代表的な色の意味:
具体例:
メインカラーが決まったら、以下のカラーハーモニーモデルを活用してサブカラーやアクセントカラーを決めます。
具体例:コントラストアクセントアプローチ
メインカラーとしてブルー(#007BFF)を選定。サブカラーにはライトブルー(#66B2FF)を使用し、アクセントカラーにはオレンジ(#FF8800)を選びます。これにより、信頼性とエネルギーを同時に表現できます。
特徴:
具体的な手順:
利点:
特徴:
具体的な手順:
利点:
特徴:
具体的な手順:
利点:
特徴:
具体的な手順:
利点:
UI要素ごとに色を決定することで、ユーザーの操作をスムーズにし、重要な情報を強調します。
色数を抑えることで、視覚的な一貫性を保ち、ユーザーにとってわかりやすいデザインを実現します。
具体例:
例:メインカラーがブルー(#007BFF)の場合
UI要素への適用
具体的なデザイン例:
色の選定だけでなく、デザイン全体の装飾も考慮します。装飾は適切に使えばデザインの魅力を高めますが、過度な装飾は情報の伝達を妨げる可能性があります。
全ての装飾は意味づけが必要です。無意味な装飾は避け、ユーザーにとって価値のある情報を強調するために装飾を活用します。
具体例:
装飾のポイント:
具体例:
ゼロからWEBデザインの配色を決定するプロセスを解説しました。大切なのは、ターゲットや伝えたい内容をしっかりと理解し、それに基づいて色やデザイン要素を選定することです。感覚や経験だけに頼らず、客観的な分析や理論を活用して、ユーザーにとってわかりやすく魅力的なデザインを作り上げましょう。
追加のポイント:
本記事が、ゼロからWEBデザインの配色を決定する際の参考となり、実践的なデザイン作業に役立つことを願っています。成功するWEBデザインの基盤として、効果的な配色戦略をぜひ取り入れてください。