WEB制作WEB制作における配色の決定方法

WEB制作における配色の決定方法

はじめに

多くのデザイナーは「他人のデザインを真似しろ」と指示され、その結果、真似た要素が頭に染み付いてなんとなくデザインを作り上げてしまいます。しかし、真似や感覚、経験だけに頼らず、本質的にゼロからデザインを制作できるプロセスを持つデザイナーは少ないのが現状です。

本記事では、そのプロセスを具体的に解説し、WEB制作における配色の決定方法を詳しく紹介します。具体的な事例やツールの活用方法も交えながら、実践的な配色戦略を学びましょう。


1. 何を伝えるのか

1.1 自社の強みを客観的に理解する

まず、自分たちのサービスや商品が何を提供するのかを明確に理解することが重要です。内部の関係者間ではざっくりとした説明でも理解や信頼を得ることができますが、外部の人、特に比較検討をしている潜在的な顧客に対しては、客観的で根拠のある情報提供が必要です。

以下のような分析手法を活用して、自社の強みや市場での立ち位置を明確にしましょう。

  • SWOT分析
    自社の強み(Strengths)弱み(Weaknesses)機会(Opportunities)、**脅威(Threats)**を洗い出します。例えば、強みとして「優れたカスタマーサポート」が挙げられる場合、信頼性を示す青色をメインカラーに選ぶと効果的です。
  • PEST分析
    政治的(Political)経済的(Economic)社会的(Social)、**技術的(Technological)**要因を分析します。例えば、技術革新が進んでいる業界では、先進的なイメージを与えるブルーやグレーを基調とした配色が適しています。
  • ポーターのファイブフォース分析
    競争環境を理解するために、競合他社の脅威新規参入者の脅威などを評価します。競争が激しい市場では、差別化を図るために独自のアクセントカラーを取り入れると良いでしょう。
  • バリューチェーン分析
    企業の主要な活動と支援活動を分析し、価値創出のプロセスを明確にします。例えば、効率的な物流システムを強みとする企業は、信頼性や安定感を表現するブルー系の色を活用することが考えられます。

これらの分析を通じて得られた客観的な強みや性質を理解し、デザインに反映させます。

1.2 想いを伝える

分析を行った上で、自分たちのサービスが「どのようにユーザーの生活を楽にするのか」「便利にするのか」「幸せにするのか」「負担を軽減するのか」「楽しみを提供するのか」を明確にします。この想いをデザインに反映させることで、ユーザーに強く訴求するWEBサイトを構築できます。

具体例:

  • 便利さを伝えるサービス
    配送サービスの場合、迅速さと信頼性を表現するために青色と緑色を組み合わせます。青色は信頼性、緑色は効率性を象徴します。
  • 楽しさを提供するサービス
    エンターテインメント系のサイトでは、明るいオレンジや黄色をアクセントカラーとして使用し、ユーザーに楽しい印象を与えます。

2. 誰に伝えるのか

ターゲット設定は重要ですが、過度に囚われすぎるのは避けましょう。実際にサービスを提供していると、想定していなかった層からも利用されることがあります。ターゲット設定は、迷ったときに立ち戻るための指針として活用します。

2.1 ターゲットの基本的な切り口

以下のようなセグメントを参考に、だいたいの年齢層や性別、置かれている状況、興味関心などをラフに決めます。

  • F1層:女性、20歳から34歳
    特徴
    • デジタルネイティブ:SNSやオンラインショッピングを日常的に利用。
    • トレンドに敏感:ファッションやビューティーに高い関心。
    • 自己表現を重視:個性やライフスタイルを大切にする。
  • F2層:女性、35歳から49歳
    特徴
    • 購買力が高い:経済的に安定しており、高品質な商品やサービスに投資する傾向。
    • 多面的な役割:仕事、家庭、育児など多くの役割を持つ。
    • 健康・美容への関心:アンチエイジングや健康維持に積極的。
  • F3層:女性、50歳以上
    特徴
    • 時間的余裕:自分の時間を持つ方が増える。
    • 高品質志向:信頼性や実績のあるブランドや商品を好む。
    • 社会参加:地域活動やボランティアに積極的。
  • M1層:男性、20歳から34歳
    特徴
    • テクノロジー志向:最新のデジタル機器やテクノロジーに強い関心。
    • キャリア形成期:仕事でのスキルアップやキャリア構築に積極的。
    • エンターテインメント消費:ゲーム、音楽、スポーツなどの趣味に時間とお金を費やす。
  • M2層:男性、35歳から49歳
    特徴
    • 経済的安定:管理職や専門職として働き、購買力が高い。
    • 家庭と仕事のバランス:家庭生活も重視し、ファミリー向けの商品・サービスに関心。
    • 品質重視:商品やサービスの品質やブランド価値を重要視。
  • M3層:男性、50歳以上
    特徴
    • 豊富な経験と知識:長年の経験からくる洞察力や判断力。
    • 健康への関心:健康維持や予防医療に積極的。
    • 時間的余裕:定年退職後は旅行や趣味に時間を割く。

具体例:

  • F1層向けのファッションサイト
    トレンドを重視するF1層には、明るくポップなカラー(ピンク、パステルカラー)を使用し、視覚的に楽しい印象を与えます。インスタグラム連携やSNSシェアボタンを強調することで、デジタルネイティブな特性に対応します。
  • M2層向けのビジネスサービスサイト
    信頼性と品質を重視するM2層には、落ち着いたブルーやグレーを基調とした配色を採用。プロフェッショナルなイメージを強調し、信頼感を醸成します。

3. 何を使って伝えるのか

伝えるための手段や媒体を選定します。ウェブサイトの場合、ファーストビュー(FV)や第二ブロックの構成が重要です。具体的には以下のようなポイントを考慮します。

  • ファーストビュー(FV)
    ユーザーが最初に目にする部分です。ここで強い印象を与え、ユーザーの興味を引くことが求められます。メインメッセージやキャッチコピー、視覚的なインパクトのあるビジュアルを配置します。具体例:
    • メインビジュアルに商品画像やサービスの利用シーンを配置。
    • キャッチコピーを大きなフォントで目立たせ、ユーザーの関心を引く。
    • CTAボタンを配置し、ユーザーの行動を促す。
  • 第二ブロック
    FVの下に続く部分で、詳細な情報や特徴を伝えます。ユーザーに対して具体的な価値提案を行い、理解を深めてもらうためのコンテンツを配置します。具体例:
    • サービスの特徴をアイコンや図解を用いて視覚的に説明。
    • ユーザーの声実績を掲載し、信頼性を高める。
    • 詳細なCTAを配置し、具体的なアクションを促す。
  • ランディングページ
    SEO対策やリスティング広告のランディングページ、アフィリエイトのランディングページなど、特定の目的に応じたページを設計します。各ページで一貫した配色とデザインを維持しつつ、目的に合わせた情報を提供します。

具体例:

  • SEO向けランディングページ
    キーワードに関連する情報を充実させ、自然検索での上位表示を狙います。信頼性を高めるために、ニュートラルカラーを基調とし、アクセントカラーで重要なポイントを強調します。
  • アフィリエイトランディングページ
    商品やサービスの紹介に特化し、視覚的に魅力的なデザインを採用。ユーザーの興味を引くビジュアルと、明確なCTAボタンを配置します。

4. どのように伝えるのが良いのか

第三者に理解してもらうために、わかりやすく情報を伝える必要があります。以下のようなマーケティングモデルやフレームワークを活用して、効果的なコンテンツ構成を考えます。

  • AIDMAモデル
    Attention(注意)Interest(興味)Desire(欲求)Memory(記憶)Action(行動)
  • AISASモデル
    Attention(注意)Interest(興味)Search(検索)Action(行動)Share(共有)
  • 新PASONAの法則
    Problem(問題)Agitation(煽り)Solution(解決策)Offer(提案)Narrowing down(絞り込み)Action(行動)
  • QUESTフォーミュラ
    Qualify(適格化)Understand(理解)Educate(教育)Stimulate(刺激)Transition(移行)
  • PASフォーミュラ
    Problem(問題)Agitate(煽り)Solution(解決策)
  • FAB分析
    Feature(特徴)Advantage(利点)Benefit(利益)
  • BABフォーミュラ
    Before(以前)After(以後)Bridge(橋渡し)
  • 4Cモデル
    Clear(明確)Concise(簡潔)Compelling(魅力的)Credible(信頼性)
  • STAR法
    Situation(状況)Task(課題)Action(行動)Result(結果)
  • PPCP法
    Problem(問題)Promise(約束)Credibility(信頼性)Proposal(提案)
  • AIDCAモデル
    Attention(注意)Interest(興味)Desire(欲求)Conviction(確信)Action(行動)
  • ISDALSモデル
    Interest(興味)Sympathy(共感)Desire(欲求)Action(行動)Loyalty(忠誠心)Spread(拡散)

具体例:AIDMAモデルを用いたコンテンツ構成

  1. Attention(注意)
    魅力的なビジュアルやキャッチコピーでユーザーの注意を引く。
    例:「今すぐ始めるあなたのビジネス成功ストーリー!」
  2. Interest(興味)
    サービスの特徴や利点を紹介し、ユーザーの興味を引き続ける。
    例:「当社のマーケティングツールは、データ分析から自動化まで一貫してサポートします。」
  3. Desire(欲求)
    ユーザーがサービスを利用することで得られる具体的な利益を強調。
    例:「効率的なマーケティング戦略で、売上を30%向上させましょう。」
  4. Memory(記憶)
    サービスの記憶に残る要素を提供。
    例:「成功事例として、A社は当社のツールを活用し、わずか半年で売上を倍増しました。」
  5. Action(行動)
    明確なCTAボタンを配置し、ユーザーの行動を促す。
    例:「今すぐ無料トライアルを開始!」

これらのフレームワークを活用して、ユーザーの購買プロセスや心理を理解し、適切な情報提供を行いましょう。


5. 色はどうするのか

ここから本題である配色の決定方法について解説します。適切な配色は、WEBデザインの印象を大きく左右し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

5.1 ターゲットと業界に合わせたカラーパレットの用意

ターゲット層や業界によって、好まれる色や避けるべき色があります。まずは、その業界やサービスに関連する色を調査します。具体的には、Google画像検索などで競合他社や関連キーワードを検索し、使用されている色を参考にします。

具体例:

  • 健康関連サイト
    青や緑を基調としたカラーは、信頼性や安心感を与えるため、健康関連サイトに適しています。
  • ファッションサイト
    トレンド感を出すために、鮮やかな色やモノトーンを組み合わせることが多いです。

ツールの活用:

  • color.adobe.com
    カラーホイールやパレットを作成する際に便利なツールです。カラーハーモニーを簡単に確認できます。
  • Coolors.co
    簡単にカラーパレットを生成できるオンラインツール。既存のパレットを参考にしたり、自分でカスタマイズできます。

5.2 メインカラーの決定

**メインカラー(テーマカラー)**を一つ決めます。最初は二つや三つでも構いませんが、最終的には一つに絞ります。色には文化的・社会的な意味づけがあるため、選定には注意が必要です。

代表的な色の意味:

  • 赤色
    情熱、危険、エネルギー。例えば、食品業界では食欲を刺激するために赤色がよく使用されます。
  • 青色
    信頼性、冷静さ、誠実。金融業界やIT業界でよく使用され、信頼感を与えます。
  • 緑色
    自然、健康、安心感。環境関連や健康関連のサイトで多用されます。
  • 黄色
    明るさ、幸福、注意。注意喚起や楽しい印象を与えたい場合に適しています。
  • 紫色
    高級感、創造性、神秘。高級ブランドやクリエイティブなサービスに適しています。

具体例:

  • IT企業のWEBサイト
    信頼性と先進性を表現するために、メインカラーとしてブルー(#007BFF)を選定。
  • オンラインショップのWEBサイト
    明るく親しみやすい印象を与えるために、メインカラーとしてオレンジ(#FF8800)を選定。

5.3 カラーハーモニーの活用

メインカラーが決まったら、以下のカラーハーモニーモデルを活用してサブカラーやアクセントカラーを決めます。

  • 類似色配色(アナログ)
    メインカラーの隣接色を使用し、調和の取れた配色を実現します。柔らかい印象を与えたい場合に適しています。
    例:メインカラーがブルーの場合、緑や紫をサブカラーとして使用。
  • モノクロマティック配色
    メインカラーの明度や彩度を変化させた色を使用します。シンプルで統一感のあるデザインに適しています。
    例:メインカラーがブルーの場合、ライトブルーやネイビーブルーをサブカラーとして使用。
  • トライアド配色
    色相環で等間隔に配置された三色を使用します。バランスの取れた配色が可能です。
    例:メインカラーがブルーの場合、赤と黄色をアクセントカラーとして使用。
  • 補色配色
    メインカラーの対極に位置する色を使用し、強いコントラストを生み出します。視覚的なインパクトを与えたい場合に有効です。
    例:メインカラーがブルーの場合、オレンジをアクセントカラーとして使用。
  • 分割補色配色
    補色の隣接色を使用し、バランスの取れたコントラストを実現します。
    例:メインカラーがブルーの場合、赤と黄緑をアクセントカラーとして使用。
  • 正方形配色
    色相環で正方形の頂点に位置する四色を使用します。多彩な配色が可能ですが、バランスに注意が必要です。
  • コンパウンド配色
    補色の一部を調整して使用し、複雑な色合いを実現します。
  • シェード配色
    メインカラーの異なるシェード(暗い色)を使用し、深みのあるデザインを作り出します。

具体例:コントラストアクセントアプローチ

メインカラーとしてブルー(#007BFF)を選定。サブカラーにはライトブルー(#66B2FF)を使用し、アクセントカラーにはオレンジ(#FF8800)を選びます。これにより、信頼性とエネルギーを同時に表現できます。

5.4 カラーパレットの具体的な決定方法

パターン1:シングルハーモニーアプローチ

特徴:

  • 一つのカラーハーモニーモデル(例:類似色またはモノクロマティック)に基づいて色を選定。
  • メインカラー、サブカラー、アクセントカラーを同じモデル内で決定。
  • 色数を抑えつつ、デザイン全体の調和を維持。

具体的な手順:

  1. メインカラーを決定
    例:メインカラーとしてブルー(#007BFF)を選定。
  2. カラーハーモニーモデルを選択
    例:モノクロマティック配色を選択。
  3. サブカラーとアクセントカラーを選定
    • サブカラー:ライトブルー(#66B2FF)
    • アクセントカラー:ダークブルー(#0056b3)
  4. UI要素への適用
    • ヘッダー・フッター:メインカラーのブルー
    • 背景:サブカラーのライトブルー
    • CTAボタン:アクセントカラーのダークブルー

利点:

  • 一貫性のあるデザインが可能。
  • 色数が限定されるため、ユーザーにとってわかりやすい。
パターン2:コントラストアクセントアプローチ

特徴:

  • メインカラーとサブカラーは類似色またはモノクロマティックで選定。
  • アクセントカラーにはメインカラーの補色や分割補色を使用。
  • 重要な要素を際立たせるために、コントラストを活用。

具体的な手順:

  1. メインカラーを決定
    例:メインカラーとしてブルー(#007BFF)を選定。
  2. サブカラーを選定
    例:モノクロマティックでライトブルー(#66B2FF)をサブカラーに。
  3. アクセントカラーを選定
    例:ブルーの補色であるオレンジ(#FF8800)をアクセントカラーに選定。
  4. UI要素への適用
    • ヘッダー・フッター:メインカラーのブルー
    • 背景:白またはライトグレー
    • リンク:サブカラーのライトブルー
    • CTAボタン:アクセントカラーのオレンジ

利点:

  • 重要な要素を強調できる。
  • 全体の調和を保ちつつ、視覚的な興味を引き出す。
パターン3:ニュートラルベースアプローチ

特徴:

  • ニュートラルカラー(白、黒、グレー)をベースに使用。
  • メインカラーをアクセントとして使用。
  • シンプルでモダンなデザインに適している。

具体的な手順:

  1. ベースとしてニュートラルカラーを設定
    例:背景色を白(#FFFFFF)に設定。
  2. メインカラーを決定
    例:メインカラーとしてグレー(#333333)を選定。
  3. アクセントカラーを選定
    例:アクセントカラーとしてイエロー(#FFDD00)を選定。
  4. UI要素への適用
    • 背景:白
    • テキスト:メインカラーのグレー
    • CTAボタン:アクセントカラーのイエロー

利点:

  • ミニマルで洗練された印象を与える。
  • 色数が少ないため、集中力が高まる。
パターン4:ブランドカラーフォーカスアプローチ

特徴:

  • ブランドカラーを中心に色を選定。
  • ブランドのセカンダリーカラーをサブカラーやアクセントカラーに使用。
  • ブランドアイデンティティの強化が目的。

具体的な手順:

  1. メインカラーとしてブランドのプライマリカラーを使用
    例:ブランドカラーがパープル(#800080)の場合、メインカラーとして使用。
  2. サブカラーとアクセントカラーにブランドのセカンダリカラーを使用
    例:セカンダリカラーとしてゴールド(#FFD700)を選定。
  3. 必要に応じて明度・彩度を調整
    例:ライトパープル(#D8BFD8)やダークパープル(#4B0082)を作成。
  4. UI要素への適用
    • ロゴ、ヘッダー:メインカラーのパープル
    • サブメニュー、リンク:セカンダリカラーのゴールド
    • CTAボタン:アクセントカラーのゴールド

利点:

  • ブランド認知度の向上。
  • ユーザーに一貫したブランド体験を提供。

5.5 UI要素ごとの色の決定方法

UI要素ごとに色を決定することで、ユーザーの操作をスムーズにし、重要な情報を強調します。

  • リンクの色
    • メインカラーまたはサブカラーの濃淡を使用。
    • アクセシビリティを考慮して、背景色とのコントラストを十分に確保。
    • ホバーエフェクトで明度や彩度を変える。
    具体例:
    • 通常時はライトブルー(#66B2FF)、ホバー時は濃いブルー(#0056b3)に変更。
  • CTA(コール・トゥ・アクション)の色
    • アクセントカラーを使用して視覚的に目立たせる
    • ユーザーの注意を引くため、補色や分割補色から選ぶことも有効。
    • 一貫性を保つため、CTAボタンはサイト全体で同じ色を使用。
    具体例:
    • CTAボタンはオレンジ(#FF8800)で統一し、ホバー時に色を少し濃くして視覚的なフィードバックを提供。
  • 背景色
    • コンテンツの可読性を高めるため、白や薄いニュートラルカラーを使用。
    • セクションごとに背景色を変える場合、メインカラーやサブカラーの淡い色を使用して区切りを明確に。
    具体例:
    • メインセクションは白(#FFFFFF)、サブセクションはライトグレー(#F5F5F5)を使用。
  • ホバーエフェクト
    • 同じ色相で明度や彩度を変化させて視覚的なフィードバックを提供。
    • 過度な色変化は避け、ユーザーが混乱しないように
    具体例:
    • ボタンのホバー時に明度を下げて(#0056b3)コントラストを強調。

5.6 色数を抑えるポイント

色数を抑えることで、視覚的な一貫性を保ち、ユーザーにとってわかりやすいデザインを実現します。

  • 最大で3〜5色程度に色数を限定。
  • 色のバリエーションは、明度・彩度の調整で表現。
  • ニュートラルカラーを積極的に活用して、カラフルさを抑える
  • 一貫性のあるカラーパレットを作成し、全てのUI要素に適用。

具体例:

  • メインカラー、サブカラー、アクセントカラー、ニュートラルカラー(白、黒、グレー)の組み合わせで、シンプルながらバランスの取れたデザインを実現。

5.7 カラーハーモニーの適用例

例:メインカラーがブルー(#007BFF)の場合

  • メインカラー:ブルー(#007BFF)
  • サブカラー:ライトブルー(#66B2FF)—モノクロマティックで明度を上げた色
  • アクセントカラー:オレンジ(#FF8800)—ブルーの補色

UI要素への適用

  • ヘッダー・フッター:メインカラーのブルー(#007BFF)
  • 背景:白(#FFFFFF)またはライトグレー(#F5F5F5)
  • リンク:サブカラーのライトブルー(#66B2FF)
  • CTAボタン:アクセントカラーのオレンジ(#FF8800)
  • ボタンのホバーエフェクト:ブルーの明度を下げた色(#0056b3)

具体的なデザイン例:

  • ヘッダー・フッターにブルーを使用し、サイト全体のトーンを統一。
  • 背景に白を使用し、コンテンツの可読性を確保。
  • リンクはライトブルーで統一し、視覚的にわかりやすく。
  • CTAボタンにオレンジを使用し、ユーザーの行動を促す。
  • ホバーエフェクトでブルーの明度を下げることで、視覚的なフィードバックを提供。

6. 装飾の作り方

色の選定だけでなく、デザイン全体の装飾も考慮します。装飾は適切に使えばデザインの魅力を高めますが、過度な装飾は情報の伝達を妨げる可能性があります。

6.1 装飾のポイント

  • 不透明度の調整
    重要度の低い情報を薄く表示することで、視覚的な階層を作り出します。
    具体例:背景画像に不透明度を下げてテキストを際立たせる。
  • アニメーションとトランジション
    動きを加えることでユーザーの注意を引き、インタラクティブな体験を提供します。
    具体例:ボタンにホバーアニメーションを追加し、クリック時に色が変わるように設定。
  • グラデーションやフィルター効果
    視覚的な魅力を高め、情報を引き立てるために使用します。
    具体例:背景に青から緑へのグラデーションを適用し、爽やかな印象を与える。
  • 行間・文字間の調整
    読みやすさを向上させ、視覚的なバランスを整えます。
    具体例:本文の行間を1.6倍に設定し、読みやすさを向上。
  • アイコン、イラストの追加
    情報を視覚的に伝えるために、適切なアイコンやイラストを使用します。
    具体例:サービスの特徴を説明する際に、関連するアイコンを配置して視覚的に補完。
  • レイアウトの工夫
    ダイナミックな配置や斜めの要素を取り入れることで、デザイン性を高めます。
    具体例:セクションごとに異なるレイアウトを採用し、ユーザーの視線を誘導。

6.2 装飾と情報のバランス

全ての装飾は意味づけが必要です。無意味な装飾は避け、ユーザーにとって価値のある情報を強調するために装飾を活用します。

具体例:

  • 矢印アイコンを使用して、ユーザーの視線を重要な情報に誘導。
  • 強調したい情報にはアクセントカラーを使用し、装飾としての意味を持たせる。
  • 背景パターンテクスチャーを使用する場合、情報の可読性を損なわないように注意。

装飾のポイント:

  • 意味のある装飾
    装飾はデザインの目的やメッセージを補完するものでなければなりません。例えば、信頼性を表現するために安定感のある直線的なデザインを採用するなど。
  • 過度な装飾の回避
    過度なアニメーションやカラフルな背景は、ユーザーの注意を散漫にさせる可能性があります。必要最低限の装飾に留め、情報伝達を優先します。

具体例:

  • ボタンの装飾
    CTAボタンに微妙な影やホバーエフェクトを追加することで、クリック可能であることを視覚的に示します。しかし、過度なアニメーションは避け、ユーザーが直感的に理解できるようにします。

おわりに

ゼロからWEBデザインの配色を決定するプロセスを解説しました。大切なのは、ターゲットや伝えたい内容をしっかりと理解し、それに基づいて色やデザイン要素を選定することです。感覚や経験だけに頼らず、客観的な分析や理論を活用して、ユーザーにとってわかりやすく魅力的なデザインを作り上げましょう。

追加のポイント:

  • ユーザーテストの実施
    配色やデザインの決定後、実際のユーザーにテストしてもらい、フィードバックを得ることが重要です。これにより、配色の効果を確認し、必要に応じて調整を行えます。
  • アクセシビリティの考慮
    色覚多様性に対応するため、色のコントラスト比を適切に設定します。**WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)**に基づいた色選定を心掛けましょう。
  • 一貫性の維持
    サイト全体で一貫したカラーパレットを維持することで、プロフェッショナルな印象を与えます。デザインガイドラインを作成し、チーム全体で共有することをおすすめします。

参考リンク

  • Adobe Color
    カラーホイールやカラーパレットを作成するためのツール。カラーハーモニーを視覚的に確認できます。
  • Coolors
    簡単にカラーパレットを生成できるオンラインツール。既存のパレットを参考にしたり、自分でカスタマイズ可能です。

本記事が、ゼロからWEBデザインの配色を決定する際の参考となり、実践的なデザイン作業に役立つことを願っています。成功するWEBデザインの基盤として、効果的な配色戦略をぜひ取り入れてください。